開業したばかりの先生や、相談件数を増やしたい事務所にとって、弁護士ポータルサイトへの掲載は身近な選択肢です。一方で、掲載料がかかり続けることや、掲載をやめるとそこからの相談が止まることも考えておく必要があります。
この記事では、弁護士ポータルサイトに掲載するかどうかを決めるときの判断基準と、自社ホームページとの使い分けを整理しました。契約のときに確認しておきたい弁護士のルールもまとめています。
この記事でわかること
- 弁護士ポータルサイトに掲載するメリットとデメリット
- 料金形態と、契約で確認したい弁護士のルール
- 掲載するかどうかの判断基準
- 自社ホームページとの使い分け方
弁護士ポータルサイトとは
弁護士ポータルサイトは、相談したい人が分野や地域から弁護士・法律事務所を探せるサイトです。弁護士ドットコム、ベンナビ、弁護士JPなどがよく知られています。分野別のサイトや、法律の解説記事を多く載せて集客しているサイトもあります。
「地域名+離婚 弁護士」のような検索では、個々の事務所のホームページと並んで、こうしたポータルサイトのページが表示されることがよくあります。事務所はポータルに掲載料を払い、ポータルのページに事務所の情報を載せてもらう形が一般的です。
ポータルサイトに掲載するメリット
- 開業直後でも相談が届きやすい 自社ホームページが検索に出るようになるには時間がかかりますが、ポータルはサイト自体に集客力があるため、掲載してすぐに見てもらえる可能性があります。
- ホームページ制作の手間がかからない 決まった項目を入力すれば掲載ページができます。
- 「弁護士を探している人」に見てもらえる ポータルを訪れるのは、相談先を探している人です。
ポータルサイトに掲載するデメリット
- 掲載料がかかり続ける 掲載をやめるとポータルからの相談は止まります。お金をかけても事務所の資産としては残りません。
- 他の事務所と並べて比べられる 同じページに複数の事務所が並ぶため、費用や表示順で比べられやすくなります。
- 事務所らしさを伝えにくい 掲載できる項目や見せ方はポータルの形式に合わせることになります。
- 地域や分野によって効果に差がある 同じポータルでも、地域や分野によって掲載している事務所の数や、検索での表示のされ方が違います。
実際に法律事務所の集客をお手伝いしていても、「掲載料が高い」「効果が分かりにくい」「届く相談の質が良くない」という声を先生方から聞きます。掲載するなら、どれだけ相談が来て、そのうち何件が受任につながったかを記録し、費用に見合っているかを定期的に確かめることが欠かせません。
料金形態と、契約で確認したい弁護士のルール
ポータルサイトの料金は、毎月決まった掲載料を払う月額固定型や、表示・クリックの回数に応じて払う型などがあります。契約のときに注意したいのが、弁護士には「紹介の対価」を払ってはいけないルールがあることです。
| ルール | 内容 |
|---|---|
| 紹介の対価の禁止(弁護士職務基本規程第13条) | 依頼者の紹介を受けたことに対して、謝礼その他の対価を支払ってはいけない |
| 非弁護士との提携の禁止(弁護士職務基本規程第11条) | 弁護士法第72条〜第74条に違反する者、または違反すると疑うに足りる相当な理由のある者から依頼者の紹介を受けたり、その者を利用したりしてはいけない |
| 第三者の違反広告への協力の禁止(業務広告規程第8条) | 第三者が規程に反する広告をしている場合に、お金を払ったり協力したりしてはいけない |
料金が「広告の掲載料」ではなく「相談や受任1件ごとの紹介料」や「受任した事件の報酬に連動した手数料」になっている場合は、紹介の対価にあたらないかを慎重に確認する必要があります。判断に迷うときは、所属弁護士会に相談するのが確実です。
掲載するかどうかの判断基準
ポータルサイトに掲載するかどうかは、次の点を確認してから決めると失敗しにくくなります。
- 自分の地域・分野で検索に表示されているか 「地域名+分野+弁護士」で実際に検索し、そのポータルのページが上位に出ているかを確かめます。
- 同じ地域・分野に何件の事務所が掲載されているか 掲載数が多いと、1件あたりに届く相談は少なくなりがちです。
- 料金形態が広告料になっているか 前の章のルールに照らして、紹介の対価にあたる料金体系でないかを確認します。
- 掲載内容を自分で確認・修正できるか ポータル側が書いた紹介文も、事務所の広告として弁護士が責任を持ちます。
- 問い合わせの件数や経路がわかるか どれだけ相談が来たかがわからないと、掲載料に見合っているかを判断できません。
- 契約期間と解約の条件 最低契約期間や、解約の申し出の期限を確認しておきます。
自社ホームページとの使い分け
ポータルサイトと自社ホームページは、どちらか一方を選ぶものではなく、役割の違うものとして組み合わせるのが現実的です。
| ポータルサイト | 自社ホームページ | |
|---|---|---|
| 相談が届くまでの早さ | 掲載後すぐに届く可能性がある | 検索に出るまで時間がかかる |
| 費用 | 掲載料がかかり続ける | 制作費と維持費。作ったページは事務所に残る |
| 見せ方 | ポータルの形式に合わせる | 事務所の方針や先生の人柄を自由に伝えられる |
| 比較されやすさ | 他の事務所と同じページに並ぶ | 自分の事務所の情報だけを見てもらえる |
| やめたときの影響 | 相談が止まる | 公開を続ける限り検索から見つけてもらえる |
難易度の高い分野はポータル、狙える分野はホームページ
エアライフでは、ポータルとホームページを分野ごとに使い分けることをおすすめしています。まず、SEO難易度の高いキーワードの分野は、無理にホームページで上位を狙わず、ポータルでの集客を続けます。たとえば「離婚 弁護士」はSEO難易度41、「交通事故 弁護士」は46で、全国の大手事務所やポータルサイトと競うことになります(ラッコキーワード調べ)。
そのうえで、ホームページでの集客は、事務所が得意とする分野や、ポータルや他の事務所がまだ手薄な分野から始めます。競争の少ないところでホームページから相談が来るようになったら、そこで得た実績やコラムを足がかりに、少しずつ対象の分野を広げていきます。
組み合わせ方の例
- 開業直後:ポータルで当面の相談を確保しながら、自社ホームページの取扱分野ページとプロフィールを整える
- ホームページから相談が来始めたら:分野ごとの相談の経路を記録し、ポータルの掲載分野やプランを見直す
- ホームページが育ったら:ポータルは競争の激しい分野だけに絞るなど、掲載料をかける範囲を決める
ポータルの掲載ページを見た人も、事務所名で検索してホームページを確認することがあります。ポータルに掲載する場合でも、ホームページで取扱分野や費用、弁護士の経歴を確認できる状態にしておくと、問い合わせにつながりやすくなります。
ホームページから相談を集める作り方は弁護士・法律事務所のSEO対策で、ポータル以外の集客方法は弁護士の集客方法7つでまとめています。
ポータルに掲載するときの注意点
- 所属弁護士会を表示する 弁護士の広告には氏名と所属弁護士会の表示が必要です(業務広告規程第9条)。ポータルの掲載ページでも確認します。
- 紹介文の表現を確認する 「専門」「No.1」などの表現や、架空・脚色した解決事例が入っていないかを確認します。
- 契約書や支払いの記録を保存する 広告をした弁護士は、広告が終わってから3年間、広告業者との契約書などや、その契約に関する入出金の記録を保存する必要があります(業務広告規程第11条)。
ホームページやポータルで使える表現のルールは弁護士の広告規制とは|ホームページで書けない表現と表示義務で詳しく解説しています。
エアライフの弁護士・法律事務所向けホームページ制作
エアライフでは、ポータルサイトだけに頼らない集客の土台として、法律事務所のホームページを制作しています。取扱分野ごとのページと解説コラムで検索から相談を集める作りにし、業務広告の指針に沿った原稿で、公開前に先生にすべて確認していただきます。ポータルサイトと併用しながら、少しずつ自社ホームページからの相談を増やしていく進め方にも対応します。
詳しくは弁護士・法律事務所のホームページ制作をご覧ください。
まとめ
- ポータルサイトは、開業直後でも相談が届きやすい一方、掲載料がかかり続け、他の事務所と比べられる
- 料金が紹介の対価にあたらないかを、弁護士職務基本規程に照らして確認する
- 掲載前に、自分の地域・分野で実際に検索して表示を確かめる
- ポータルで当面の相談を確保しながら、自社ホームページを育てる組み合わせが現実的
- ポータルの掲載内容も弁護士の広告。表現・表示・記録保存のルールを守る
出典:日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」、「業務広告に関する指針」、弁護士職務基本規程


