コンカフェやガールズバー、スナックを開こうとして調べると、「風営法」「接待」「深夜営業の届出」といった言葉が次々に出てきます。どの許可が必要なのか、キャストとお客さんがどこまで話していいのか、分かりにくいと感じる方は多いはずです。
先に結論を言うと、この3つの業態は基本的に飲食店営業許可で開業できます。ただし、お店が「接待」をすると風営法の許可(風俗営業の1号許可)が必要になり、午前0時以降もお酒を出すなら警察署への届出が必要です。どれが必要かは、業態の名前ではなくお店で実際に何をするかで決まります。
この記事では、警察庁の解釈運用基準(2026年7月1日付)をもとに、接待の線引き、深夜営業の届出、物件選びや求人で気をつけることを、夜のお店のホームページ制作に関わる立場から整理します。
コンカフェ・ガールズバー・スナックに必要な許可は3パターン

夜のお店の許可・届出は、営業の仕方によって次の3パターンに分かれます。
| パターン | 必要な手続き | できること | できないこと |
|---|---|---|---|
| ①飲食店のみ | 飲食店営業許可(保健所) | 午前0時までの飲食提供 | 接待、午前0時以降の酒類提供 |
| ②深夜営業 | ①+深夜酒類提供飲食店営業の届出(警察署) | 午前0時以降もお酒を出す | 接待 |
| ③接待あり | ①+風俗営業許可・1号(警察署経由で公安委員会) | 接待 | 原則として午前0時以降の営業(条例で延長できる地域あり) |
ポイントは、②と③は両立しないということです。「接待をしながら朝まで営業する」形は取れません。カウンター越しの接客で深夜まで営業するガールズバーやコンカフェの多くは②、キャストが席について会話するスナックやラウンジは③を選ぶ、というのが一般的な考え方です。
どこからが「接待」になるのか
風営法では、接待を「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」と定めています。言葉だけでは分かりにくいので、警察庁の解釈運用基準では具体的な例が示されています。

| 行為 | 接待に当たる | 接待に当たらない |
|---|---|---|
| 会話 | 特定の客のそばに付いて、続けて談笑の相手をする | カウンター内で注文に応じて酒を出す。挨拶や少しの世間話 |
| お酌 | そばに付いて続けて飲食物を提供する | お酌や水割りを作ってすぐ立ち去る |
| カラオケ | 客と一緒に歌う | 不特定の客に歌を勧める、伴奏する |
| ゲーム | 特定の客と一緒にゲームをする | 客だけでゲームをさせる |
| 身体接触 | 体を密着させる、手を握る | 社交儀礼の握手、酔ったお客さんの介抱 |
| その他 | 客の口元まで飲食物を差し出す | 料理を運ぶ、食器を片付ける、荷物を預かる |
共通しているのは、「特定のお客さん」に「継続して」サービスをするかどうかです。不特定のお客さんに向けた対応や、一瞬で終わる対応は接待に当たりにくく、特定のお客さんの相手を続けるほど接待に近づきます。
コンカフェで気をつけたいこと
コンカフェで判断が分かれやすいのは、チェキ撮影、キャストドリンク、ゲームです。チェキ撮影のときに体に触れれば身体接触になりますし、特定のお客さんとゲームを続ければ遊戯の相手になります。
私がアドバイザーとして関わっているコンカフェでも、「チェキを撮るときに体に触れない」「カラオケは手拍子や合いの手まで」と線引きをしています。どこまでがOKかをお店で決めて、キャスト全員で共有しておくことが、知らないうちに違反するのを防ぐ一番の方法です。
ガールズバーで気をつけたいこと
ガールズバーは、カウンター越しにお酒を出す形が基本です。基準でも、カウンター内で注文に応じて酒を出すだけなら接待に当たらないとされています。ただし、カウンター越しでも特定のお客さんの話し相手を長く続ければ、接待と判断されるおそれがあります。キャストがカウンターから出て隣に座る、一緒にゲームをする、といった対応は1号許可がなければできません。
スナックで気をつけたいこと
スナックは、ママやスタッフがお客さんの席について会話する店も多い業態です。席について談笑するなら1号許可が必要になります。カラオケも、お客さんと一緒に歌う(デュエットする)と接待に当たります。許可を取らずに深夜まで営業しているスナックは、カウンター越しの対応にとどめ、歌は手拍子や合いの手までにしておくのが安全です。
午前0時以降も営業するなら「深夜酒類提供飲食店営業」の届出
午前0時から午前6時の間にお酒を主に出す営業をするには、「深夜における酒類提供飲食店営業」の届出が必要です。兵庫県警察のQ&Aでも、営業を始める日の10日前までに届け出るよう案内されています。届出先は、お店の所在地を管轄する警察署の生活安全課です。
- 届出は許可ではないので審査期間はないが、10日前までという期限がある
- 住居系の用途地域など、営業できない地域がある(地域は都道府県の条例で決まる)
- 届出をしても接待はできない
営業できない地域かどうかは、物件を契約する前に警察署で確認しておきましょう。
物件を決める前に確認すべきこと
夜のお店の開業でいちばん取り返しがつかないのは、営業できない物件を契約してしまうことです。
不動産の仕事をしていた頃、他の不動産会社で、夜のお店を開く予定の物件を契約したあとに、近くに幼稚園・保育園があって営業できないと分かり、裁判沙汰になった話を聞いたことがあります。風俗営業の許可は、学校や保育所、病院などの近くでは取れません。何メートル離れていればよいかは、都道府県の条例で決まっています。
内装工事まで進んでから分かれば、家賃と工事費がそのまま損になります。物件を決める前に、次の点を確認しておくことをおすすめします。
- その場所の用途地域(住居系の地域ではないか)
- 近くに学校・保育所・病院などがないか(1号許可を取る場合)
- ビルのオーナーが夜の業態を認めているか
- 内装の計画が許可の基準(客室の広さ、見通し、照明など)に合うか
判断に迷ったら、管轄の警察署か、風営法を扱う行政書士に「この場所でこの営業ができるか」を相談してから契約するのが確実です。
18歳未満・20歳未満のルールと求人ページの書き方
夜のお店で特に厳しく見られるのが、年齢に関するルールです。
- 風俗営業の許可を取った店では、18歳未満に接待をさせること、夜10時から朝6時まで18歳未満に接客させることが禁止されています
- 労働基準法でも、18歳未満は夜10時から朝5時までの労働が原則として禁止です
- 20歳未満にお酒を出すことは、どの業態でも禁止です
求人ページでは、応募できる年齢をはっきり書いておくことが大切です。私が夜のお店の求人ページを作るときは、年齢条件をしっかり記載したうえで、採用時に住民票などの提出が必要なことも書いておきます。最初から年齢確認の流れを示しておけば、条件に合わない応募を減らせるうえ、お店がルールを守っている姿勢も伝わります。
違反した場合の罰則は2025年に重くなった
風営法は2025年に改正され、同年6月28日から無許可営業などの罰則が重くなりました。熊本県警察の案内によると、次のように引き上げられています。
| 対象 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 違反した本人 | 2年以下の拘禁刑・200万円以下の罰金 | 5年以下の拘禁刑・1,000万円以下の罰金 |
| 法人 | 200万円以下の罰金 | 3億円以下の罰金 |
許可なく接待をすれば無許可営業として扱われます。「うちは飲食店だから大丈夫」と思っていても、実際の接客が接待に当たれば違反になるので、自分のお店の接客を一度見直しておきましょう。
ホームページやSNSで気をつけたい表現
ホームページやSNSは、警察やお客さんがお店の営業内容を知る窓口にもなります。1号許可を取っていない店が、「隣に座ってお話し」「一緒にカラオケ」「ゲームでお相手します」のように、接待を思わせる表現を載せるのは避けましょう。
許可を取った店でも、風営法では広告や宣伝の方法について一定の制限があり、18歳未満の立ち入りを禁止する表示も必要です。表現に迷う場合は、制作を頼む会社や行政書士に確認してから公開すると安心です。
エアライフでは、スナック・ガールズバー・コンカフェ・ラウンジ・キャバクラなど、夜のお店のホームページ制作を行っています。営業形態に合った表現の整理や、求人ページ・採用サイトの制作もご相談ください。
開業資金や手続きの流れは、業態ごとに次の記事でまとめています。
よくある質問
コンカフェは風営法の許可がないと営業できませんか?
接待をしなければ、飲食店営業許可だけで営業できます。午前0時以降もお酒を出すなら、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要です。キャストが特定のお客さんの話し相手を続けたり、一緒にゲームをしたりするなら1号許可が必要です。
ガールズバーのカウンター越しの会話は接待になりますか?
カウンター内で注文に応じて酒を出す、挨拶や少しの世間話をする程度なら、接待に当たらないとされています。ただし、特定のお客さんの話し相手を長く続けると、カウンター越しでも接待と判断されるおそれがあります。
スナックでお客さんとデュエットしてもいいですか?
お客さんと一緒に歌う行為は、接待に当たるとされています。1号許可を取っていないスナックでは避けましょう。
深夜営業の届出はいつまでに出せばいいですか?
営業を始める日の10日前までに、管轄の警察署に届け出ます。
1号許可を取れば朝まで営業できますか?
風俗営業は、原則として午前0時までしか営業できません(条例で午前1時まで延長できる地域があります)。接待をしながら朝まで営業する、という形は取れません。
まとめ
- コンカフェ・ガールズバー・スナックは、基本的に飲食店営業許可で開業できる
- 午前0時以降もお酒を出すなら、営業開始の10日前までに警察署へ深夜営業の届出をする
- 接待をするなら1号許可が必要。深夜営業とは両立しない
- 接待かどうかは「特定のお客さんに、継続してサービスするか」が目安
- 物件は契約前に、用途地域や近くの学校・保育所などを確認する
- 2025年の改正で無許可営業の罰則は大きく重くなった
この記事は、警察庁の解釈運用基準などの公開情報をもとに、一般的な考え方をまとめたものです。実際に許可が必要かどうかは、お店の構造や接客の内容によって変わります。最終的な判断は、管轄の警察署や行政書士に確認してください。
参考:警察庁「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準について」(令和8年7月1日)、兵庫県警察「Q&A(許認可)」、熊本県警察「風営法の改正について」


