よもぎ蒸しは、よもぎなどの薬草を煮出した蒸気を、専用の椅子に座って下半身から浴びる温活のメニューです。施術者が手で施術する時間が少なく、1〜2畳ほどのスペースから始められることから、自宅サロンの開業や、エステ・整体などの既存サロンへの追加メニューとして選ばれています。
一方で、よもぎ蒸しには、ほかのサロンとは違う確認事項があります。保健所での扱いが自治体によって違うこと、熱源と蒸気を扱うため換気や火の安全に気をつけること、「効く」と言いたくなる場面が多く広告の表現に注意が必要なことです。
この記事では、よもぎ蒸しサロンの開業資金の目安と内訳、開業の形態、資金の集め方、資格と保健所の確認、安全と衛生、広告の表現、開業までの流れ、長く続けるためのポイントをまとめました。
- よもぎ蒸しサロンの開業資金の目安と内訳
- 自宅・マンション・テナント・既存サロンへの追加の違い
- 融資・補助金での資金の集め方
- 資格と、保健所に事前に確認すべき理由
- 換気・火の安全と、薬機法・景品表示法の広告表現
よもぎ蒸しサロン開業の相談で多い悩み
ご相談者「火や煙を使うので、マンションの一室でも開業できるのか不安です。」



「保健所への届出が必要なのかどうかがわかりません。」
よもぎ蒸しサロンは、物件選びと換気・火の安全が開業の前提になります。必要な確認と費用の内訳を順番に整理しました。
よもぎ蒸しサロンの開業資金はどれくらい必要か
日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、すべての業種を合わせた開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。250万円未満で開業した人が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、500万円未満の開業が4割を超えています。
よもぎ蒸しサロンは、この平均よりも小さな金額で始めやすい業態です。必要な設備は、専用の椅子、蒸気を出す鍋や機器、体を覆うマント、薬草などが中心で、大がかりな機械はいりません。自宅の一室で始めるなら、物件の費用もほとんどかかりません。
ただし、テナントを借りて内装をつくり、シャワーや複数の個室を設けるなら、費用は大きく上がります。どこで、何席で、どこまで設備を整えるかで金額が変わると考えてください。
初期費用と運転資金の2つに分けて考える
開業資金は、オープンまでにかかる「初期費用」と、オープン後に売上が安定するまでサロンを回す「運転資金」に分けて考えます。よもぎ蒸しは、知っている人と知らない人の差が大きいメニューです。まず体験してもらうまでに時間がかかることもあるので、集客の費用を含めて運転資金を別に用意しておきましょう。
開業の形態で費用が変わる
| 形態 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自宅サロン | 物件の費用がかからず、家賃の負担もない | 湿気・においへの対策、家族の生活との区切り。賃貸や分譲マンションは契約・管理規約の確認が必要 |
| マンションサロン | テナントより家賃を抑えやすく、落ち着いた空間をつくれる | 事業での利用、火気や湿気の扱いが認められているか、契約前に確認が必要 |
| テナント(店舗物件) | 看板を出せて、通りがかりのお客様にも気づいてもらえる | 保証金・家賃・内装費が高くなりやすい。換気設備の工事が必要になることがある |
| 既存サロンへの追加 | エステ・整体・ネイルなど、今のお客様に案内できる | スペースの確保と、ほかのメニューとの予約の調整 |
| フランチャイズ・開業講座 | 機材、講習、薬草の仕入れ先が用意されている | 加盟金や講座費用、機材・薬草の購入条件を確認する |
よもぎ蒸しは、お客様が服を脱いでマントをかぶって座るメニューです。どの形態でも、個室であること、着替えのスペースがあること、施術のあとに汗をふいたり休んだりできることを考えて場所を選びましょう。
自宅サロンは賃貸の契約と規約を必ず確認する
賃貸住宅で自宅サロンを開く場合、契約書で「住居としてのみ使用」と決められていることがあります。分譲マンションでも、管理規約で事業での利用が禁止されている場合があります。よもぎ蒸しは、蒸気による湿気や薬草のにおい、熱源の使用もあるため、ほかの業種より確認が必要です。始める前に、大家さんや管理会社、管理組合に相談しておきましょう。
よもぎ蒸しサロンの開業資金の内訳


初期費用の内訳
| 項目 | 内容 | 金額が変わるポイント |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 保証金、礼金、仲介手数料、前家賃 | 自宅かマンションかテナントか、立地 |
| 内装・設備工事費 | 換気扇・換気設備、床や壁の防水・防湿、照明、更衣スペース | 換気の工事が必要か、シャワーを設けるか |
| よもぎ蒸しの機材 | 専用の椅子(黄土・木製など)、鍋や電気式の加熱機器、マント | 席数、椅子の素材、熱源の種類 |
| 設備・家具 | 休憩用の椅子、タオルウォーマー、ロッカー、カウンセリング用の机と椅子 | サロンの雰囲気づくりにどこまでこだわるか |
| 薬草・消耗品 | よもぎなどの薬草、タオル、使い捨ての下着やシート、飲み物 | 薬草の種類と仕入れ先、施術人数 |
| 講習の費用 | よもぎ蒸しの講座や開業講座 | 未経験か、すでにサロンを営んでいるか |
| 決済・予約 | キャッシュレス決済端末、予約システム | 初期費用をかけずに始められるサービスもある |
| 集客の準備 | ホームページ、Googleマップの写真、SNS、予約サイト、チラシ | オープン前から情報を出しておくと立ち上がりが早い |
よもぎ蒸しでは、機材そのものよりも、換気や防湿など場所を整える費用で差が出やすくなります。蒸気が部屋にこもると、カビや壁紙の傷みの原因になります。物件を決める前に、窓や換気扇の位置、床の素材を確認しておきましょう。
運転資金の内訳
- 家賃・共益費
- 薬草・消耗品の仕入れ代
- 水道光熱費(加熱の電気・ガス代、タオルの洗濯、空調など)
- 人件費(スタッフを雇う場合)
- 広告費、予約サイトの掲載料
- 決済手数料、予約システムの月額料金
- 賠償責任保険の保険料
- 融資の返済、自分の生活費
よもぎ蒸しは消耗品の費用が比較的少ないメニューですが、お客様が来ない月も家賃や返済はかかります。少なくとも半年分の運転資金を初期費用とは別に用意しておくと安心です。開業資金は、オープンする日ではなく、サロンが黒字になる日までを見て計算してください。
よもぎ蒸しサロンの開業資金を抑える方法
小さく始めて、あとから広げる
自宅やマンションの一室で1席から始めれば、物件取得費と内装費を大きく抑えられます。お客様が増えて予約が取りにくくなってから、席を増やしたり、広い物件に移ったりしても遅くはありません。
既存のサロンに追加する
すでにエステや整体、ネイルなどのサロンを営んでいるなら、よもぎ蒸しを追加メニューにする方法があります。物件や予約の仕組みをそのまま使えるうえ、今のお客様に案内できるので、ゼロから集客するより始めやすくなります。ただし、追加するメニューでも、後で説明する保健所への確認や換気、広告の表現の注意は同じです。
機材と薬草は仕入れ先を比べる
専用の椅子や加熱機器、薬草は、メーカーや開業講座によって価格や条件が違います。講座の受講と機材の購入がセットになっている場合は、総額と、薬草をほかの仕入れ先から買えるかどうかを確認しましょう。薬草は毎回使う消耗品なので、長く安定して仕入れられるかも大切です。
よもぎ蒸しサロンの開業資金を集める方法
自己資金
日本政策金融公庫の同じ調査では、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが67.9%(平均827万円)、自己資金が22.9%でした。小さく始めるよもぎ蒸しサロンなら、自己資金だけで開業できる場合もあります。融資を受ける場合でも、自己資金がどれだけあるか、どのように貯めてきたかが審査で見られます。
日本政策金融公庫の創業融資
| 制度 | 新規開業・スタートアップ支援資金 |
|---|---|
| 対象 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内) |
融資を申し込むときは、事業計画書を出します。どんなお客様に、どんなメニューをいくらで提供するのか、1日に何人の施術を見込むのかを、具体的に書けるようにしておきましょう。
売上見込みの立て方(計算の例)
よもぎ蒸しサロンの売上は「1日の施術人数×客単価×営業日数」で考えます。1席で、1日に平均4人、客単価が4,000円なら、1日の売上は4人×4,000円=16,000円です。月に22日営業すると、月の売上は約35万円になります。
ここから薬草や消耗品の費用、家賃、光熱費、広告費、返済を引き、手元に残るお金を確認します。1回の施術時間は、着替えや休憩、片付けを含めると蒸している時間より長くなります。1日に受けられる人数を現実的に見積もってください。数字はあくまで計算の例です。出店する地域の相場や、近くのサロンの価格を調べて、自分のサロンに当てはめましょう。
補助金・助成金
- 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉:市区町村などの「特定創業支援等事業」の支援を受けた、創業間もない小規模事業者が対象です。2026年の第3回公募では補助上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)、補助率3分の2でした。チラシやホームページなどの販路開拓に使えます。公募の時期や条件は回ごとに違うため、最新の公募要領を確認してください。
- 市区町村の創業支援:創業セミナーを受けると、登録免許税の軽減や融資の金利優遇を受けられる地域があります。
補助金は先に自分で支払い、あとから一部が戻る仕組みが基本です。開業前の手元資金にはならないので、融資や自己資金とは分けて考えてください。
よもぎ蒸しサロンの開業に資格や許可は必要か
よもぎ蒸しに国家資格はない
よもぎ蒸しの施術に、国家資格はありません。民間の講座や認定資格はありますが、取得は必須ではありません。ただし、熱い蒸気を体に当てるメニューなので、やけどや湯あたり、体調の変化への対応を学んでから始めることが大切です。講座やサロンでの勤務で、蒸気の温度の調整や、受けていただくのを控えるべき方の判断を身につけておきましょう。
保健所での扱いは自治体によって違う
よもぎ蒸しは「資格も許可もいらない」と紹介されることがありますが、自治体によっては扱いが異なります。たとえば長崎市は、よもぎ蒸し・ハーブ蒸し・酵素浴などの営業には公衆浴場法の許可が必要だと案内しています。岩手県も、よもぎ蒸しを業として行う場合、内容によっては公衆浴場の営業許可が必要になる可能性があるとして、保健所への相談を求めています。
公衆浴場の営業許可が必要になると、施設の構造や設備に基準があり、工事のやり直しが必要になることもあります。物件の契約や内装工事の前に、サロンの所在地を管轄する保健所に、提供方法と図面を持って相談してください。自宅サロンでも同じです。
ほかのメニューと組み合わせる場合
よもぎ蒸しとあわせて、まつ毛エクステンションやメイクなど美容師法に関わるメニューを扱う場合は、美容所の届出が必要になります。マッサージをメニューに入れる場合は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格が関わります。メニューを組み合わせるときは、それぞれの法律を確認しましょう。
換気・火・衛生の安全対策
熱源と換気
よもぎ蒸しの熱源には、炭やガス、電気などがあります。炭やガスなど火を使う場合は、一酸化炭素の発生や火災に注意が必要です。火を使う設備を置く場合は、換気の方法や消防上の扱いを、物件の管理者や消防署に確認しておきましょう。電気式の機器を使う場合も、電気容量と、蒸気がコンセントや配線にかからない配置を考えてください。
部屋に蒸気がこもると、湿気でカビが生えやすくなり、お客様が息苦しく感じることもあります。換気扇や窓の位置を確かめ、施術と施術の間に換気する時間を予約の枠に入れておくと安心です。
やけどと体調の変化への備え
蒸気の温度が高すぎたり、座る位置が近すぎたりすると、やけどの原因になります。施術中もこまめに声をかけ、熱さや気分を確認しましょう。妊娠中の方、持病のある方、体調がすぐれない方などは、受けていただくかどうかを事前に確認し、必要に応じて医師に相談していただくようお願いしてください。カウンセリングシートで体調を確認する流れをつくっておくと、判断がぶれにくくなります。
衛生管理
椅子やマントは、お客様の肌に直接ふれます。使い捨ての下着やシートを使う、マントやタオルは毎回洗濯する、椅子の座面を拭き取るなど、衛生管理の手順を決めておきましょう。薬草の保管場所が湿気ないようにすることも大切です。
広告やSNSで避けたい表現
よもぎ蒸しの広告で最も注意したいのが、効果・効能の表現です。病気の治療や予防、体の機能への効果をうたうと、薬機法(医薬品医療機器等法)や景品表示法の問題になりえます。たとえば、次のような表現は避けましょう。
- 「不妊が改善する」「生理痛が治る」「冷え性が治る」など、病気や症状を治すと受け取られる表現
- 「デトックスで毒素が出る」「免疫力が上がる」など、体の機能への効果を断定する表現
- 「必ず痩せる」「〇回で効果が出る」など、根拠を示せない効果の断定
- お客様の感想を、効果の証明のように使う表現
景品表示法では、実際よりも著しく良いと見せる表示が禁止されています。効果をうたう場合は、その裏付けとなる合理的な根拠が求められます。よもぎ蒸しのよさは、「体が温まる時間」「ゆったりくつろげる空間」など、体験そのものの心地よさで伝えるのが安全です。薬草を物販する場合は、商品の表示にも同じ注意が必要です。
よもぎ蒸しサロンの開業に必要な届出
| 手続き | 窓口 | いつまでに | ポイント |
|---|---|---|---|
| 開業届 | 税務署 | 開業から1か月以内 | 青色申告承認申請書も一緒に出すと節税につながる |
| 営業の扱いの事前相談 | 保健所 | 物件契約・内装工事の前 | 自治体によっては公衆浴場法の営業許可が必要 |
| 防火対象物使用開始届など | 消防署 | 使用開始の前(自治体の条例による) | テナントで店舗として使い始めるとき、火を使う設備を置くときに確認 |
お客様がやけどなどのけがをしたときに備えて、サロン向けの賠償責任保険にも入っておきましょう。
よもぎ蒸しサロンの開業までの流れ
ターゲット、メニュー、客単価、単独のサロンか既存サロンへの追加か
講座、サロンでの勤務、蒸気の温度と体調の確認方法
賃貸の契約や管理規約も確認
Googleマップ・ホームページ・SNS・予約サイト
流れのなかで後回しにされやすいのが、カード・電子マネー・QRコード決済の準備です。決済サービスは申し込みから審査、端末の到着までに日数がかかります。届出や内装の準備と同じタイミングで申し込んでおくと、オープン当日から使えます。初期費用をかけずに始めるなら、カード・電子マネー・QRコードにまとめて対応できる「Airペイ」が候補になります。
キャッシュレス決済は開業時に用意しておく
よもぎ蒸しは、続けて通っていただくことで楽しんでもらいやすいメニューで、回数券や月額のプランを用意するサロンも多くあります。回数券や薬草の物販が加わると、会計の金額が大きくなります。カードや電子マネーで支払えれば、お客様は現金を用意する必要がありません。
また、よもぎ蒸しのあとは汗をかいて着替えたばかりの状態です。財布から小銭を出すより、スマートフォンのQRコード決済や電子マネーで手早く支払えるほうが、お客様にとっても気が楽です。ひとりで営むサロンなら、会計が早く済むぶん、換気や次のお客様の準備に時間を回せます。
決済端末は、iPadやスマートフォンとカードリーダーで使えるサービスが主流です。代表的なのが「Airペイ」と「Square」で、どちらもカード・電子マネー・QRコードにまとめて対応しています。予約システムとの連携や手数料、入金のタイミングを比べて選びましょう。
サロン・店舗でよく使われている決済端末
開業後に長く続けるためのポイント
はじめての人が来やすい工夫をする
よもぎ蒸しは、名前は知っていても受けたことがない人が多いメニューです。施術の流れ、服装、所要時間、施術後に何ができるかを、写真つきでホームページやSNSに載せておくと、はじめてのお客様の不安が減ります。体験向けのメニューを用意しておくのも方法です。
リピートにつながる仕組みをつくる
施術のあとに次回の来店時期を提案する、お客様ごとにカルテを残して体調や好みの温度を記録する、LINEで予約や案内を送るなど、続けて通っていただく仕組みを用意しましょう。季節ごとに薬草のブレンドを変えるなど、通うたびの楽しみをつくる工夫もあります。ただし、効果をうたって回数券をすすめる勧誘は避けてください。
Googleマップと予約の導線を整える
「地域名+よもぎ蒸し」で探すお客様は、Googleマップやホームページ、SNSを見てサロンを選びます。サロンの場所や営業時間、メニューと料金、施術室の写真、予約の方法がすぐにわかるようにしておきましょう。自宅サロンで住所を詳しく出したくない場合は、表示の方法を工夫する必要があります。
よくある質問
- よもぎ蒸しサロンは資格がなくても開業できますか?
-
よもぎ蒸しに国家資格はないため、資格がなくても開業できます。ただし、自治体によっては公衆浴場法の営業許可が必要とされる場合があります。物件を決める前に、所在地を管轄する保健所に相談してください。
- 自宅のマンションでよもぎ蒸しサロンを開けますか?
-
賃貸の契約書や分譲マンションの管理規約で、事業での利用や火気の使用が制限されていることがあります。湿気やにおいも出るため、始める前に大家さんや管理会社、管理組合に確認しましょう。
- 「冷え性が治る」と広告に書いてもいいですか?
-
病気や症状を治すと受け取られる表現は、薬機法や景品表示法の問題になりえるため避けましょう。体が温まる心地よさや、くつろげる時間など、体験そのものを伝える表現が安全です。
開業準備のご相談はエアライフへ
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