移動販売に必要な許可とは|パン・野菜・弁当など品目別の許可と届出、道路使用許可、出店場所の注意点

移動販売に必要な許可とは

車でパンや弁当、野菜を売って回りたい、イベントやオフィス街でキッチンカーを出したい。移動販売は、店舗を構えるよりも初期費用を抑えやすく、売れる場所を探して動けるのが魅力です。ただし、食品を扱う以上、何をどのように売るかによって、食品衛生法の許可や届出が必要になります。また、道路で売るのか、私有地で売るのかによって、警察の許可や土地の持ち主の承諾も関わってきます。

移動販売の手続きでつまずきやすいのは、「移動販売の許可」というひとつの許可があるわけではないことです。車内で調理するのか、包装済みの商品を売るだけなのか、野菜や果物を売るのかで、保健所への手続きが変わります。さらに、営業できる区域は許可を出した自治体の範囲が基本になるため、どこで売るのかも最初に考えておく必要があります。

この記事では、移動販売を始めたい方に向けて、品目ごとに必要な許可と届出、自動車で営業するときの施設基準、道路使用許可、出店場所を確保するときの注意点を順にまとめました。内容は、滋賀県、大阪府、札幌市の保健所関係の案内と、警視庁の道路使用許可の案内で確認したものです。細かな基準は自治体ごとに違うため、実際の手続きでは営業する地域の保健所に確認してください。

この記事でわかること
  • 移動販売で「許可」と「届出」が分かれる考え方
  • パン・弁当・野菜・飲み物など品目別の手続きの目安
  • 自動車営業(キッチンカー)の施設基準と営業できる区域
  • 道路で売るときの道路使用許可と手数料の例
  • 出店場所の確保と、開業までの流れ
目次

こんな相談をよく受けます

ご相談者

「軽トラでパンや野菜を売りたいけど、何の許可がいるんですか?」

ご相談者

「販売する場所は、空いている道路の脇でも大丈夫でしょうか」

移動販売は、売る品目と車内で調理するかどうかで必要な許可や届出が変わります。出店場所も、道路での販売には別の許可が関わるため、先に整理しておくことが大切です。

移動販売に必要な手続きの全体像

移動販売に関わる手続きは、大きく3つに分けて考えるとわかりやすくなります。ひとつ目は、食品を扱うための食品衛生法の手続きです。ふたつ目は、道路で販売する場合の道路交通法の手続きです。みっつ目は、販売する場所を使うための土地の持ち主や管理者の承諾です。

このうち、もっとも中身が品目によって変わるのが食品衛生法の手続きです。食品衛生法の営業には、保健所長の「許可」が必要な業種と、保健所への「届出」で足りる業種、そしてどちらも不要な場合があります。2021年6月の食品衛生法の改正で、この区分が見直されました。札幌市の案内でも、業種が「令和3年6月以前から許可業種だった営業」などに整理されて示されています。

移動販売に必要な許可とはのイメージ

品目別に必要な許可と届出

ここでは、移動販売でよく扱われる品目ごとに、手続きの目安を整理します。最終的な判断は、売り方や加工の有無によって変わるため、必ず保健所に確認してください。

車内で調理して出す(キッチンカー)

車の中で調理した食べ物や飲み物を提供する場合は、自動車による「飲食店営業」の許可が必要です。滋賀県の案内では、自動車で飲食店営業、魚介類販売業、食肉処理業を行うには、食品衛生法にもとづく保健所長の許可が必要とされ、県の施設基準に合う設備を車内に設けて申請するとされています。大阪府の資料では、自動車は1台につき1業種に限り、1台ごとに営業許可が必要とされています。

クレープ、たこ焼き、コーヒー、ハンバーガー、カレーなど、その場で仕上げて出す商品の多くはこの区分です。調理の工程が多いほど、必要な給水タンクの容量が大きくなるのが一般的です。

弁当や総菜を売る

弁当や総菜を自分で作って売る場合は、作る場所(仕込みを行う施設)で、その食品に合った許可を受ける必要があります。そのうえで、車で販売する方法について保健所の確認を受けます。札幌市の届出業種の一覧には「弁当販売業」も含まれていて、作った弁当を仕入れて販売する場合は届出の対象になることがあります。作って売るのか、仕入れて売るのかで手続きが違うため、事前に保健所へ相談しましょう。

パンや焼き菓子を売る

パンや焼き菓子を自分で焼いて売る場合は、製造する施設で、品目と作り方に合った許可を受けることが前提になります。保健所の許可は、食品衛生法の業種ごとに受けます。大阪府の営業許可の案内では、菓子製造業は「パン類及びあん類を含む」菓子を製造する営業とされ、そうざい製造業では弁当やサンドイッチの製造も可能とされています。一方、千葉市の案内では、飲食店営業は「食品を調理し、又は設備を設けて客に飲食させる営業」とされています。弁当なら、店で調理してその場で売るのか、製造してほかの店に卸すのかといった売り方で該当する業種が変わることがあるため、どの許可になるかは管轄の保健所で確認しましょう。自宅での製造についても扱いは自治体ごとに確認が必要です。たとえば横浜市の案内では、自宅で営業する場合も自宅用とは別に営業用のキッチンを設け、カウンターや扉で区切ることなどが改修のポイントとして示されています。家庭の台所をそのまま使うことはできないため、製造の場所をどう確保するかが最初の課題です。製造の許可を受けた施設で作った包装済みの商品を車で売る場合、販売のほうの手続きは、商品の保存方法などによって変わります。

野菜や果物を売る

野菜や果物の販売は、2021年の改正で届出の対象として整理された業種です。札幌市の案内では、届出業種のひとつに「野菜果物販売業」が挙げられています。一方で、農家や漁業者が自分で採ったものを一定の範囲で売る場合は届出が不要とされる例も示されています。農家から仕入れて売るのか、自分で育てたものを売るのかで扱いが変わるため、確認しておきましょう。

包装された飲み物やお菓子だけを売る

札幌市の案内では、冷凍や冷蔵をしなくても保存でき、品質の劣化による危害のおそれがない包装食品の販売は、届出が不要な例として示されています。具体例として、スナック菓子、カップ麺、清涼飲料水、茶類などが挙げられています。ただし、冷蔵が必要な商品を一緒に売る場合などは扱いが変わります。

許可・届出の手数料

許可の手数料は自治体ごとに決められています。届出については、札幌市の案内では手数料はかからないとされています。食品衛生責任者を決めておくことも求められるため、資格を持っていない場合は講習会の予約を早めにしておきましょう。

自動車営業の施設基準

キッチンカーで飲食店営業の許可を受けるには、車内に決められた設備を備える必要があります。代表的なのが、給水タンクと排水タンクです。大阪府の資料では、飲食店営業の自動車を次のように区分しています。

  • Ⅲ型(基本型):給水タンク約200L。通常の食器も使える
  • Ⅱ型:給水タンク約80L。使い捨ての食器のみ
  • Ⅰ型:給水タンク約40L。使い捨ての食器のみ

同じ資料では、排水タンクの容量は給水タンクの容量以上とされています。滋賀県の案内でも、提供する品目や調理の工程の数によって必要な貯水設備の容量が違うとされ、品目ごとの水量の例が示されています。車を買ったり改造したりする前に、売りたいメニューで必要なタンクの容量を保健所に確認しておくと、作り直しを防げます。

営業できる区域に注意する

自動車営業の許可は、許可を出した自治体の区域で営業するのが基本です。大阪府の資料では、府内のいずれかの自治体で一定の時期以降に許可を受けた営業車は、府全域で営業できるとされています。また、滋賀県の案内では、関西広域連合の区域内で自動車による飲食店営業の許可基準を共通化する指針がつくられたことが紹介されています。複数の府県や市にまたがって営業したい場合は、どこで許可を取れば、どこまで営業できるのかを最初に確認しましょう。

行商の扱いは自治体に確認する

車ではなく、手押し車や自転車、徒歩で食品を売り歩く「行商」の扱いは、自治体の条例や運用によって異なります。たとえば大分市の営業届出の案内では、届出が必要な営業の例として「行商」が挙げられています。売り方が自動車営業にあたるのか、別の手続きになるのかは、営業する地域の保健所に確認してください。

道路で売るときの道路使用許可

道路上で販売する場合は、道路交通法の道路使用許可が関わります。警視庁の案内では、場所を移動しないで道路に露店や屋台などを出す場合は道路使用許可の対象とされ、原則として、これまで慣習上出店してきた場所に限られるとされています。申請先は、道路を使う場所を管轄する警察署の交通規制係です。

同じ案内では、東京都の例として露店などの申請手数料は2,100円とされ(手数料は都道府県ごとに定められているため、地域によって異なります)、現場の案内図や露店の設計図などが必要書類として示されています。ただし、道路使用許可は、申請すれば必ず出るものではありません。交通への影響が大きいと考えられる場合は事前の協議が必要になることもあるため、申請の前に管轄の警察署に相談しましょう。新しい場所で継続して営業するための許可は、慣習上の出店場所という原則から外れるため、受けるのは簡単ではありません。多くの移動販売が私有地やイベント会場で営業しているのはこのためです。

出店場所の確保

移動販売の売上を左右するのが、どこで売るかです。スーパーやドラッグストアの駐車場、オフィスビルの敷地、マンションの共用スペース、イベント会場など、私有地で営業する場合は、土地の持ち主や管理者の承諾を受けます。口約束ではなく、出店できる曜日や時間、場所代、ごみの扱い、電源の使い方などを書面で決めておくと、あとのトラブルを防げます。

公園や公共施設の敷地で営業したい場合は、その施設を管理する自治体の許可が必要です。たとえば小樽市が公園でのキッチンカー出店者を募集した要項では、都市公園法第5条にもとづく公園施設の設置許可を受ける形とされています。これは小樽市の例で、許可の種類や、そもそも営業できるかどうかは公園の管理者ごとに違います。出店を考えている公園の管理者に確認しましょう。イベントに出店する場合も、主催者から保健所の許可証の写しの提出を求められることが多いため、許可証はすぐに出せるようにしておきましょう。

移動販売を始めるまでの流れ

売る品目と売り方を決める

車内で調理するのか、包装済みの商品を売るのか、野菜を売るのかを整理する

営業する地域を決める

どの自治体で許可を取れば、どこまで営業できるかを確認する

保健所に事前相談する

必要な許可・届出と、車の設備やタンク容量を確認する

仕込みの施設を確保する

弁当やパンなどを作る場合は、許可を受けられる施設を用意する

車を用意する

施設基準に合わせて車を購入・改造する

食品衛生責任者を決める

資格がなければ講習会を受ける

保健所に申請・届出をする

許可が必要な業種は車の検査を受けて許可証を受け取る

出店場所を確保する

土地の持ち主の承諾、道路なら道路使用許可の相談をする

営業を始める

許可証を車の見やすい場所に掲示し、売上や仕入れの記録をつける

許可を待つ間に、メニュー表や看板とあわせて進めておきたいのが、カード・電子マネー・QRコード決済の準備です。移動販売は、短い時間に多くのお客様が集まることが多く、会計のスピードがそのまま売上に影響します。決済サービスは申し込みから審査、端末の到着までに日数がかかるので、保健所への申請と同じころに申し込んでおくと、営業初日から使えます。初期費用をかけずに始めるなら、カード・電子マネー・QRコードにまとめて対応できる「Airペイ」が候補になります。

Airペイ(エアペイ)

  • 月額費用・初期費用:0円
  • 決済手数料:0.99%〜3.24%(決済方法による)
  • カードリーダー:無償貸与(iPad・iPhoneは別途必要)
  • 対応する決済ブランド:92種

※2026年10月時点の公式サイトの情報です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

キャッシュレス決済は開業時に用意しておく

移動販売では、昼休みやイベントの休憩時間など、限られた時間にお客様が集中します。小銭のやり取りに時間がかかると行列が長くなり、並ぶのをあきらめて帰ってしまうお客様も出てきます。カードや電子マネー、QRコードで支払えれば、会計が早くなり、同じ時間でより多くのお客様に販売できます。

また、車内は作業スペースが限られているため、釣り銭の準備や現金の管理が負担になりがちです。キャッシュレスの割合が増えれば、両替の手間や、営業後の現金の数え作業も減らせます。売上のデータが自動で残るので、曜日や場所ごとの売れ行きを比べて、出店場所を見直すときにも役立ちます。

決済端末は、iPadやスマートフォンとカードリーダーで使えるサービスが主流です。代表的なのが「Airペイ」と「Square」で、どちらもカード・電子マネー・QRコードにまとめて対応しています。手数料や入金のタイミング、電波の状況や使い勝手を比べて選びましょう。

夜のお店で使われている主な決済端末

Square(スクエア)

Square 決済端末
  • 月額費用:0円(フリープラン)
  • 対面の決済手数料:2.5%〜
  • カードリーダー:Square リーダー(第2世代)4,980円
  • 入金:みずほ銀行・三井住友銀行なら翌営業日

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Airペイ(エアペイ)

Airペイ
  • 月額費用・初期費用:0円
  • 決済手数料:0.99%〜3.24%(決済方法による)
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よくある質問

移動販売にはどんな許可が必要ですか?

売る品目と売り方によって変わります。車内で調理して提供するなら自動車による飲食店営業の許可、野菜や果物を販売するなら届出が必要になるのが目安です。常温で保存できる包装済みのお菓子や飲み物だけなら、届出が不要な場合もあります。営業する地域の保健所に確認してください。

キッチンカーの許可はどこでも使えますか?

基本は、許可を出した自治体の区域内で営業できます。大阪府のように府内のどの自治体で受けた許可でも府全域で営業できる仕組みや、関西広域連合の区域内で基準を共通化する取り組みもあります。営業したい範囲を決めてから、許可を取る自治体を選びましょう。

道路で移動販売をしてもいいですか?

道路に露店や屋台を出して販売する場合は、道路使用許可の対象になります。警視庁の案内では、原則として慣習上出店してきた場所に限られるとされています。新しい場所で継続して道路営業する許可は受けにくいため、私有地の駐車場やイベント会場を確保するのが一般的です。

家で作ったパンや弁当を車で売ることはできますか?

家庭の台所をそのまま営業用の施設として使うことはできず、自宅に営業用の設備を設ける場合の条件は自治体ごとに確認が必要です。大阪府の案内では、パンは菓子製造業で製造でき、弁当はそうざい製造業でも製造できるとされていますが、店で調理して売るなら飲食店営業になるなど、売り方で業種が変わることがあります。管轄の保健所で確認したうえで、品目に合った保健所の許可を受けられる製造・調理の施設を用意する必要があります。シェアキッチンや、許可を受けた施設を借りる方法もあります。

キッチンカーの給水タンクはどれくらい必要ですか?

提供するメニューと調理の工程によって変わります。大阪府の資料では、通常の食器を使う基本型で約200L、使い捨て食器のみの型で約80Lや約40Lとされ、排水タンクは給水タンク以上の容量が必要です。基準は自治体ごとに違うため、車を用意する前に保健所に確認しましょう。

開業準備のご相談はエアライフへ

移動販売は、今日どこで売っているかをお客様に知ってもらえるかどうかで売上が大きく変わります。許可の準備と並行して、出店スケジュールを発信するSNSや、Googleマップ、ホームページを整えておくと、常連のお客様をつくりやすくなります。

エアライフでは、開業前のホームページ制作、Googleマップ(Googleビジネスプロフィール)の整備、InstagramなどのSNSの準備まで、オープン前後の集客をまとめてお手伝いしています。出店場所や営業日の伝え方、メニュー写真の見せ方など、移動販売ならではの情報発信もあわせてご相談いただけます。

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この記事を書いた人

エアライフ代表。不動産の現場で7年間、SEO・MEOなど様々なWeb集客を実践し、不動産会社が200社以上ある地域で上位表示を実現。現在は姫路を拠点に、中小企業・店舗の集客・採用・調査を支援しています。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランニング技能士2級

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