古着屋は、飲食店に比べると大きな厨房設備がいらず、少ない資金から始めやすい業態です。そのぶん、開業してから差がつくのは「何を、どこから仕入れて、どう売るか」です。
この記事では、古着屋の開業に必要な古物商許可、開業資金の目安と内訳、実店舗とネット販売の違い、仕入れの考え方、オープン前に準備したい決済と集客までをまとめました。
- 古着屋の開業に必要な古物商許可と、その取り方
- 開業資金の目安と内訳
- 実店舗・ネット販売・イベント出店の違い
- 仕入れルートの考え方
- キャッシュレス決済と集客の準備
古着屋開業の相談で多い悩み
ご相談者「仕入れにどれくらいお金を残しておけばいいのか迷っています。」



「実店舗とネット販売、どちらから始めるべきでしょうか。」
古着屋は在庫が資金を圧迫しやすい業態です。仕入れ資金の考え方と、販売チャネルの選び方を順番に見ていきます。
古着屋の開業に必要なもの
古物商許可は必須
一度使われた服を仕入れて売るには、古物営業法にもとづく「古物商許可」が必要です。古着屋は、お客様や業者から買い取った服、仕入れた中古の服を売る商売なので、実店舗でもネットショップでも許可が必要になります。許可を取らずに古物の売買を続けると、法律違反として罰則の対象になります。
許可の申請先は、主な営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係)です。たとえば警視庁の案内では、申請手数料は19,000円とされています。申請から許可が出るまでには日数がかかるので、物件が決まったら早めに準備を始めてください。
古物商許可の申請に必要な主な書類
- 許可申請書
- 住民票の写し(本籍が記載されたもの)
- 身分証明書(本籍地の市区町村が発行する、破産していないことなどを証明する書類)
- 略歴書
- 誓約書
- 営業所の賃貸借契約書の写しなど、営業所を使えることがわかる書類
- ネットで販売する場合は、ホームページのURLを使う権限があることがわかる資料
必要な書類は都道府県や営業の形によって変わることがあります。申請する前に、管轄の警察署の防犯係に確認しておくと安心です。
開業届と青色申告
個人で開業する場合は、税務署に開業届を出します。青色申告承認申請書も一緒に出しておくと、帳簿をつけることで節税の特典を受けられます。古着屋は仕入れと在庫の管理が大切なので、開業の時点から帳簿をつける習慣をつけておくと、あとで困りません。
古着屋の開業資金はどれくらい必要か
日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、すべての業種を合わせた開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。250万円未満で開業した人が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、500万円未満の開業が4割を超えています。
古着屋は厨房設備がいらないため、この調査の平均よりも小さな資金で始める人が多い業態です。ただし、注意したいのは「お店をつくるお金」と「売る服を仕入れるお金」は別だということです。内装や什器にお金をかけすぎて、肝心の商品が少ない状態でオープンすると、お客様に「見るものがない」と思われてしまいます。
初期費用の内訳
| 項目 | 内容 | 金額が変わるポイント |
|---|---|---|
| 物件取得費 | 保証金、礼金、仲介手数料、前家賃 | 路面店か、空中階(2階以上)か、商店街か |
| 内装工事費 | 床・壁、照明、試着室 | 雰囲気づくりにどこまでこだわるか |
| 什器 | ハンガーラック、棚、ハンガー、鏡、レジカウンター | 中古や手づくりで抑えられる |
| 商品の仕入れ | オープン時に並べる服、小物 | 店の広さと、オープン時に何点並べるか |
| 許可・届出 | 古物商許可の手数料、書類の取得費用 | 手数料は19,000円(警視庁の例) |
| 決済・レジ | キャッシュレス決済端末、POSレジ | 初期費用をかけずに始められるサービスもある |
| 集客の準備 | 看板、ショップカード、Instagram用の撮影、ホームページ | 古着屋はSNSでの発信が来店に直結しやすい |
| 備品・消耗品 | 値札、タグガン、ショッパー、洗濯・補修の道具 | まとめ買いで抑えられる |
運転資金の内訳
- 家賃・共益費
- 追加の仕入れ代
- 水道光熱費、通信費
- クリーニング・補修の費用
- 人件費(スタッフを雇う場合)
- 決済手数料、ネットショップの手数料、広告費
- 自分の生活費
古着屋は、売れた服の代わりに新しい服を仕入れ続けないと、店の鮮度が落ちていきます。売上の一部を次の仕入れに回すことを前提に、半年分ほどの運転資金を用意しておくと安心です。
実店舗・ネット販売・イベント出店の違い
| 売り方 | よいところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| 実店舗 | 手に取って試着できる。店の雰囲気で常連客がつく | 家賃がかかる。立地で客数が大きく変わる |
| ネットショップ・フリマアプリ | 家賃がかからない。全国のお客様に売れる | 撮影・採寸・梱包の手間がかかる。古物商許可の申請時にURLの資料が必要になる場合がある |
| イベント・ポップアップ出店 | 少ない費用で反応を試せる | 出店料と運搬の手間がかかる。出店先のルールを確認する |
いきなり実店舗を構えるのではなく、ネット販売やイベント出店で売れる系統と価格帯を確かめてから店を持つ人もいます。実店舗を開いてからも、ネットショップを並行して運営すると、店に来られない遠方のお客様にも売れるようになります。
古着屋の仕入れの考え方


古着屋の売上を左右するのは仕入れです。主な仕入れ先には次のようなものがあります。
- 海外からの買い付け:アメリカやヨーロッパなどで現地の古着を仕入れる。旅費と輸送費がかかる
- 古着の卸業者:まとまった量をキロ単位や束で仕入れられる
- 古物市場(業者向けの市場):古物商許可を持つ業者が参加できる市場で仕入れる
- お客様からの買い取り:店頭で買い取る。本人確認と記録の義務がある
お客様から買い取るときの義務
古物商は、お客様から古物を買い取るとき、原則として相手の住所・氏名などを確認し、取引の内容を帳簿などに記録する義務があります。盗品が持ち込まれるのを防ぐための決まりです。買い取りの金額や品目によって扱いが変わる部分もあるため、店頭で買い取りをするなら、管轄の警察署で確認したうえで、確認と記録の手順をあらかじめ決めておいてください。
仕入れ値と売値のバランス
仕入れの段階で「いくらで売れるか」を考えることが大切です。人気の系統や年代、ブランド、サイズによって売れる価格は変わります。仕入れた服すべてが売れるわけではないので、売れ残りや値下げも見込んで、全体で利益が出るように価格を決めます。
古着屋の開業資金を集める方法
自己資金
日本政策金融公庫の同じ調査では、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが67.9%、自己資金が22.9%でした。古着屋は小さく始めやすいぶん、自己資金の範囲で開業する人も多い業態です。
日本政策金融公庫の創業融資
| 制度 | 新規開業・スタートアップ支援資金 |
|---|---|
| 対象 | 新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方 |
| 融資限度額 | 7,200万円 |
| 返済期間 | 設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内) |
古着屋の場合、仕入れのための運転資金をどれだけ借りるかがポイントになります。創業計画書では、仕入れ値と売値、在庫が何か月で回るかを数字で示すと、計画の説得力が増します。
補助金
小規模事業者持続化補助金〈創業型〉は、市区町村などの「特定創業支援等事業」の支援を受けた、創業間もない小規模事業者が対象です。2026年の第3回公募では補助上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)、補助率3分の2でした。看板やチラシ、ホームページ、ネットショップの構築などの販路開拓に使えます。公募の時期は回ごとに違うため、最新の公募要領を確認してください。
古着屋の開業までの流れ
どの系統・年代の服を、誰に、いくらで売るか
実店舗の場合
Instagram・Googleマップ・ホームページ・看板
流れのなかで後回しにされやすいのが、カード・電子マネー・QRコード決済の準備です。決済サービスは申し込みから審査、端末の到着までに日数がかかるため、古物商許可の申請と同じタイミングで申し込んでおくと、オープン当日から使えます。初期費用をかけずに始めるなら、カード・電子マネー・QRコードにまとめて対応できる「Airペイ」が候補になります。
キャッシュレス決済は開業時に用意しておく
古着屋は、気に入った服が見つかったときに「その場で買う」お客様が多い業態です。現金しか使えないと、手持ちが足りずに買うのをやめてしまうことがあります。とくに若いお客様は、スマートフォンのQRコード決済や電子マネーを使い慣れています。カード・電子マネー・QRコード決済は、開業の時点で使えるようにしておくのがおすすめです。
決済端末は、iPadやスマートフォンとカードリーダーで使えるサービスが主流です。代表的なのが「Airペイ」と「Square」です。ネットショップも運営するなら、店頭とネットの売上をまとめて管理できるかどうかも選ぶときのポイントになります。
夜のお店で使われている主な決済端末
開業前に準備したい集客
Instagramで入荷情報を発信する
古着は一点ものが多く、「今日何が入ったか」がお客様の来店のきっかけになります。入荷した服をInstagramで発信し、着用のイメージやサイズを添えると、来店前に目当ての服を決めてもらえます。
Googleマップに店の情報を載せる
「近くの古着屋」を探す人は、Googleマップで店を比べています。営業時間、定休日、店内の写真、扱っている系統や価格帯、キャッシュレス決済が使えることを載せておくと、初めてのお客様が来店を決めやすくなります。
空中階なら看板と案内を工夫する
古着屋は、家賃を抑えるために2階以上の物件を選ぶことも多い業態です。通りから見えにくい場合は、1階の入口に看板を出す、階段に案内を貼るなど、お店があることに気づいてもらう工夫が必要です。
よくある質問
- ネットだけで古着を売る場合も古物商許可は必要ですか?
-
中古の服を仕入れて売る商売をするなら、ネット販売だけでも許可が必要です。自分が着ていた服を処分するために売るだけなら、古物商許可はいりません。
- 古物商許可はどこで申請しますか?
-
主な営業所の所在地を管轄する警察署の防犯係です。手数料は警視庁の例で19,000円です。必要書類は管轄の警察署で確認してください。
- 古着屋は少ない資金でも開業できますか?
-
厨房設備がいらないため、ほかの業態より少ない資金で始めやすい業態です。ただし、内装より商品の仕入れにお金を回すことが大切です。ネット販売やイベント出店から始める方法もあります。
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