エステサロンの開業資金と必要な準備|資格・届出・やってはいけない施術と開業までの流れ

エステサロンの開業資金と必要な準備

エステサロンは、フェイシャルやボディケア、痩身など、肌や体をきれいに整える施術を行うお店です。国家資格がなくても開業でき、自宅の一室やマンションの一室から小さく始めることもできます。ひとりで営むサロンも多い業態です。

その一方で、始めやすいぶん競合が多く、法律で決められた「できない施術」や、回数券・コース契約のルールを知らないまま開業すると、思わぬトラブルにつながります。

この記事では、エステサロンの開業資金の目安と内訳、開業の形態、資金の集め方、資格と法律の注意点、開業までの流れ、長く続けるためのポイントをまとめました。

この記事でわかること
  • エステサロンの開業資金の目安と内訳
  • 自宅・マンション・テナントの違い
  • 融資・補助金での資金の集め方
  • 資格がいらない理由と、医師法でできない施術
  • コース契約に関わる特定商取引法とクーリング・オフ
目次

エステサロン開業の相談で多い悩み

ご相談者

「自宅サロンとテナント、どちらで始めるべきか迷っています。」

ご相談者

「機器を買うかリースにするかで悩んでいます。」

エステサロンは開業形態と機器の選び方で初期費用が大きく変わります。それぞれの費用感と選び方を見ていきましょう。

エステサロンの開業資金はどれくらい必要か

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、すべての業種を合わせた開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。250万円未満で開業した人が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、500万円未満の開業が4割を超えています。

エステサロンの開業資金は、どこで開くかと、どんな機器を入れるかで大きく変わります。自宅の一室で手技中心のサロンを開くなら、物件の費用はほとんどかかりません。テナントを借りて内装をつくり、業務用の美容機器を何台も入れるなら、数百万円以上になることもあります。

初期費用と運転資金の2つに分けて考える

開業資金は、オープンまでにかかる「初期費用」と、オープン後に売上が安定するまでサロンを回す「運転資金」に分けて考えます。エステサロンは、リピーターがついて予約が埋まるまでに時間がかかる業態です。開業直後は集客のための広告費もかかるので、運転資金を別に用意しておくことが欠かせません。

開業の形態で費用が変わる

形態特徴注意点
自宅サロン物件の費用がかからず、家賃の負担もない住所を公開することへの不安、家族の生活との区切り。賃貸や分譲マンションは契約・管理規約の確認が必要
マンションサロンテナントより家賃を抑えやすく、落ち着いた空間をつくれる事業での利用や看板の設置が認められているか、契約前に確認が必要
テナント(店舗物件)看板を出せて、通りがかりのお客様にも気づいてもらえる保証金・家賃・内装費が高くなりやすい
出張サロン店舗を持たずに始められる移動時間と交通費がかかる。持ち運べる機器に限られる
フランチャイズ技術研修や集客の仕組みを本部が用意している加盟金やロイヤリティ、機器・商材の購入条件を確認する

最初から大きく始めるより、自宅やマンションの一室で小さく始めて、お客様が増えてからテナントに移るという方法もあります。どの形態でも、住所や看板、駐車場など、お客様が迷わず来られるかを考えて選びましょう。

エステサロンの開業資金の内訳

エステサロンの施術室
エステサロンの施術室(イメージ)

初期費用の内訳

項目内容金額が変わるポイント
物件取得費保証金、礼金、仲介手数料、前家賃自宅かマンションかテナントか、立地
内装工事費壁・床・照明、施術スペースの仕切り、シャワーや洗面台シャワーを設けるか、個室をいくつつくるか
美容機器フェイシャル用・痩身用などの業務用機器導入する機器の種類と台数。購入かリースか
設備・家具施術ベッド、ワゴン、スチーマー、タオルウォーマー、カウンセリング用の机と椅子サロンの雰囲気づくりにどこまでこだわるか
消耗品・化粧品オイル、ジェル、化粧品、タオル、使い捨てのシートなどメニューの数、物販をするか
技術の習得エステスクールや講習会の費用未経験か、すでに技術があるか
決済・予約キャッシュレス決済端末、予約システム初期費用をかけずに始められるサービスもある
集客の準備ホームページ、Googleマップの写真、SNS、予約サイト、チラシオープン前から情報を出しておくと立ち上がりが早い

エステサロンで金額の差が出やすいのが、美容機器です。業務用の機器は高額なものが多く、リースで導入する場合も毎月の支払いが長く続きます。「機器を入れれば集客できる」と考えて高い機器を先に買うのではなく、ターゲットとメニューを決めてから、本当に必要な機器を選びましょう。

運転資金の内訳

  • 家賃・共益費
  • 化粧品・消耗品の仕入れ代
  • 水道光熱費(タオルの洗濯、シャワーの給湯など)
  • 人件費(スタッフを雇う場合)
  • 広告費、予約サイトの掲載料
  • 決済手数料、予約システムの月額料金
  • 機器のリース料、融資の返済
  • 自分の生活費

オープン後の売上が読みにくい時期を乗り切るため、少なくとも半年分の運転資金を初期費用とは別に用意しておくと安心です。開業資金は、オープンする日ではなく、サロンが黒字になる日までを見て計算してください。

エステサロンの開業資金を抑える方法

小さく始めて、あとから広げる

自宅やマンションの一室で始めれば、物件取得費と内装費を大きく抑えられます。施術ベッドが1台あれば、ひとりで営業を始められます。お客様が増え、予約が取りにくくなってから、広い物件やスタッフの採用を考えても遅くはありません。

機器は中古やリース、レンタルも比べる

業務用の美容機器は、中古品やリース、レンタルで導入する方法もあります。中古品は保証やメンテナンスの条件を、リースは途中で解約できるかを必ず確認してください。お客様の反応がわからないうちは、高額な機器の購入を急がないほうが安全です。

メニューを絞る

メニューを増やすほど、必要な機器や化粧品、消耗品が増えます。最初は得意な施術に絞り、お客様の声を聞きながら少しずつメニューを増やしていくと、無駄な仕入れを減らせます。メニューを絞ると、「何のサロンか」も伝わりやすくなります。

エステサロンの開業資金を集める方法

自己資金

日本政策金融公庫の同じ調査では、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが67.9%(平均827万円)、自己資金が22.9%でした。融資の審査では、自己資金がどれだけあるか、どのように貯めてきたかが必ず見られます。

日本政策金融公庫の創業融資

制度新規開業・スタートアップ支援資金
対象新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額7,200万円
返済期間設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)

融資を申し込むときは、事業計画書を出します。サロンで働いた経験、どんなお客様に何を提供するのか、いくらの売上を見込むのかを、具体的に書けるようにしておきましょう。

売上見込みの立て方(計算の例)

エステサロンの売上は「1日の施術人数×客単価×営業日数」で考えます。ひとりで営むサロンで、1日に平均3人、客単価が8,000円なら、1日の売上は3人×8,000円=24,000円です。月に22日営業すると、月の売上は約53万円になります。

ここから化粧品や消耗品の費用、家賃、光熱費、広告費、リース料、返済を引き、手元に残るお金を確認します。ひとりで施術できる人数には限りがあるため、施術時間と予約の入れ方、物販や回数券の扱いもあわせて考えましょう。数字はあくまで計算の例です。出店する地域の相場や、近くのサロンの価格を調べて、自分のサロンに当てはめてください。

補助金・助成金

  • 小規模事業者持続化補助金〈創業型〉:市区町村などの「特定創業支援等事業」の支援を受けた、創業間もない小規模事業者が対象です。2026年の第3回公募では補助上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)、補助率3分の2でした。チラシやホームページなどの販路開拓に使えます。公募の時期や条件は回ごとに違うため、最新の公募要領を確認してください。
  • 市区町村の創業支援:創業セミナーを受けると、登録免許税の軽減や融資の金利優遇を受けられる地域があります。

補助金は先に自分で支払い、あとから一部が戻る仕組みが基本です。開業前の手元資金にはならないので、融資や自己資金とは分けて考えてください。

エステサロンの開業に資格は必要か

エステティシャンに国家資格はない

エステティシャンには、美容師や医師のような国家資格がありません。そのため、資格がなくてもエステサロンを開業できます。民間の団体が認定する資格はありますが、取得は必須ではありません。ただし、お客様の肌や体にふれる仕事なので、スクールや講習、サロンでの勤務などで技術と知識を身につけてから開業するのが一般的です。

美容所の登録や美容師免許が必要な施術

メニューによっては、美容師法の対象になる施術があります。たとえば、まつ毛エクステンションやまつ毛パーマは美容師法で定める美容行為にあたり、美容所として届け出た店舗で、美容師が施術することのみが認められています。メイクやシェービングなどをメニューに入れる場合も、美容師法や理容師法に関わることがあるので、事前に保健所へ確認してください。

医師法でエステサロンができない施術

エステサロンで最も注意したいのが、医療行為にあたる施術です。医師免許を持たない人が医療行為を仕事として行うと、医師法違反になります。厚生労働省は2001年(平成13年)の通知(医政医発第105号)で、医師免許を持たない人が業として行えば医師法違反となる行為として、次のものを挙げています。

施術通知で示された行為
レーザーなどによる脱毛レーザーなど強いエネルギーを持つ光線を毛根部分に当て、毛乳頭や皮脂腺の開口部などを破壊する行為(機器が医療用かどうかを問わない)
アートメイク針先に色素をつけながら、皮膚の表面に墨などの色素を入れる行為
ケミカルピーリング酸などの化学薬品を皮膚に塗り、しわやしみなどに対して表皮を剥離する行為

とくに脱毛は、「エステ用の機器だから大丈夫」という考えが通用しません。通知では、機器が医療用かどうかにかかわらず、毛根などを破壊する行為は医療行為にあたるとされています。光脱毛をメニューに入れる場合は、使う機器と施術の内容が医療行為にあたらないかを慎重に確認してください。判断に迷うメニューは、保健所などに相談してから始めましょう。

また、「シミが消える」「必ず痩せる」のような効果を断定する広告は、医療行為と誤解されるおそれがあるうえ、景品表示法などの問題にもなりえます。広告やSNSの表現にも注意が必要です。

特定商取引法とクーリング・オフ

エステは「特定継続的役務提供」にあたる場合がある

エステティックのコース契約や回数券のうち、契約期間が1か月を超え、かつ金額が5万円を超えるものは、特定商取引法の「特定継続的役務提供」にあたります。この場合、サロンには次のような義務やルールがあります。

  • 契約前に、サービスの内容や料金などを書いた概要書面を渡す
  • 契約を結んだら、法律で定められた事項を書いた契約書面を渡す
  • お客様は、契約書面を受け取った日から8日間はクーリング・オフ(無条件の解約)ができる
  • クーリング・オフの期間が過ぎても、お客様は理由を問わず中途解約ができる
  • 誇大な広告や、事実と違う説明での勧誘は禁止されている

中途解約で請求できる金額には上限がある

中途解約のとき、サロンがお客様に請求できる損害賠償などの金額には上限があります。エステティックの場合、施術を始める前の解約なら2万円、施術を始めたあとの解約なら「提供したサービスの対価に2万円を加えた額」と「契約残額の10%」のうち低いほうが上限です。

コース契約や回数券を販売するなら、開業前に契約書面のひな形を整え、解約のときの返金の計算方法を決めておきましょう。わからない点は、消費者庁の特定商取引法ガイドや、地域の消費生活センターで確認できます。

エステサロンの開業に必要な届出

手続き窓口いつまでにポイント
開業届税務署開業から1か月以内青色申告承認申請書も一緒に出すと節税につながる
美容所の開設届保健所開設前まつ毛エクステンションなど美容師法の美容行為を行う場合
防火対象物使用開始届など消防署使用開始の前(自治体の条例による)テナントで店舗として使い始めるときに必要になることがある

手技やフェイシャルなど、エステの施術だけを行うサロンであれば、保健所への営業許可や届出は原則として必要ありません。ただし、扱うメニューや自治体によって必要な手続きが変わることがあるので、開業前に確認しておくと安心です。

エステサロンの開業までの流れ

コンセプトを決める

ターゲット、メニュー、客単価、営業時間

技術と知識を身につける

スクール、講習、サロンでの勤務

開業の形態を決める

自宅・マンション・テナント・出張・フランチャイズ

事業計画と資金計画を立て、融資・補助金の相談をする
物件を決め、内装工事を行う
機器・備品・化粧品をそろえる

医療行為にあたる機器・施術がないかを確認

コース契約や回数券を扱う場合は、概要書面・契約書面を準備する
開業届など必要な届出を出す
メニューと価格、予約の方法を決める
集客の準備

Googleマップ・ホームページ・SNS・予約サイト

モニター施術やプレオープンで流れを確認し、オープン

流れのなかで後回しにされやすいのが、カード・電子マネー・QRコード決済の準備です。決済サービスは申し込みから審査、端末の到着までに日数がかかります。届出や内装の準備と同じタイミングで申し込んでおくと、オープン当日から使えます。初期費用をかけずに始めるなら、カード・電子マネー・QRコードにまとめて対応できる「Airペイ」が候補になります。

Airペイ(エアペイ)

  • 月額費用・初期費用:0円
  • 決済手数料:0.99%〜3.24%(決済方法による)
  • カードリーダー:無償貸与(iPad・iPhoneは別途必要)
  • 対応する決済ブランド:92種

※2026年10月時点の公式サイトの情報です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

キャッシュレス決済は開業時に用意しておく

エステサロンは、1回の施術料金が数千円から1万円を超えることも多く、回数券や化粧品の購入が加わると会計の金額が大きくなります。現金しか使えないと、お客様はまとまったお金を用意して来店しなければなりません。カードが使えれば、回数券や物販をすすめやすくもなります。

また、ひとりで営むサロンでは、施術のあとの会計を手早く済ませることが、次の予約までの準備時間を確保することにつながります。釣り銭の準備や現金の管理の手間も減らせます。

決済端末は、iPadやスマートフォンとカードリーダーで使えるサービスが主流です。代表的なのが「Airペイ」と「Square」で、どちらもカード・電子マネー・QRコードにまとめて対応しています。予約システムとの連携や手数料、入金のタイミングを比べて選びましょう。

サロン・店舗でよく使われている決済端末

Square(スクエア)

Square 決済端末
  • 月額費用:0円(フリープラン)
  • 対面の決済手数料:2.5%〜
  • カードリーダー:Square リーダー(第2世代)4,980円
  • 入金:みずほ銀行・三井住友銀行なら翌営業日

※2026年10月時点の公式サイトの情報です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

Airペイ(エアペイ)

Airペイ
  • 月額費用・初期費用:0円
  • 決済手数料:0.99%〜3.24%(決済方法による)
  • カードリーダー:無償貸与(iPad・iPhoneは別途必要)
  • 対応する決済ブランド:92種

※2026年10月時点の公式サイトの情報です。最新の条件は公式サイトでご確認ください。

開業後に長く続けるためのポイント

ターゲットとメニューをはっきりさせる

エステサロンは競合が多い業態です。「誰の、どんな悩みを解決するサロンなのか」をはっきりさせると、メニューや価格、内装、発信する内容に一貫性が出ます。何でもできるサロンより、得意な分野がわかるサロンのほうが、お客様に選ばれやすくなります。

リピーターを増やす仕組みをつくる

エステは、続けて通うことで効果を感じてもらいやすい施術が多い業態です。施術のあとに次回の来店時期を提案する、お客様ごとにカルテを残して前回の内容を引き継ぐ、LINEで予約や案内を送るなど、リピートにつながる仕組みを用意しましょう。ただし、強引な勧誘はトラブルのもとです。

Googleマップと予約の導線を整える

「地域名+エステ」で探すお客様は、Googleマップやホームページ、SNSを見てサロンを選びます。サロンの場所や営業時間、メニューと料金、施術室の写真、予約の方法がすぐにわかるようにしておきましょう。自宅サロンで住所を詳しく出したくない場合は、表示の方法を工夫する必要があります。

よくある質問

エステサロンは未経験でも開業できますか?

国家資格がないため、法律上は未経験でも開業できます。ただし、お客様の肌や体にふれる仕事なので、スクールや講習、サロンでの勤務で技術を身につけてから開業するのが一般的です。

エステサロンで脱毛はできますか?

レーザーなど強い光を当てて毛根などを破壊する脱毛は、医師免許を持たない人が業として行えば医師法違反になると厚生労働省の通知で示されています。機器が医療用かどうかは問われません。脱毛をメニューに入れる場合は、機器と施術内容を慎重に確認してください。

回数券を売るときに気をつけることは?

期間が1か月を超え、金額が5万円を超える契約は特定継続的役務提供にあたり、書面の交付やクーリング・オフ、中途解約のルールが適用されます。契約書面のひな形を開業前に準備しておきましょう。

開業準備のご相談はエアライフへ

エアライフでは、サロンのホームページ制作、Googleマップの整備、SNSや求人まで、開業前後の集客をまとめてお手伝いしています。「オープンまでに何をそろえればいいかわからない」という段階からご相談いただけます。

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この記事を書いた人

エアライフ代表。不動産の現場で7年間、SEO・MEOなど様々なWeb集客を実践し、不動産会社が200社以上ある地域で上位表示を実現。現在は姫路を拠点に、中小企業・店舗の集客・採用・調査を支援しています。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランニング技能士2級

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