ゴーストレストランの開業に必要なものは?営業許可・開業資金・シェアキッチンの使い方と始め方

ゴーストレストランの開業ガイド

ゴーストレストランとは、客席を持たず、デリバリーを中心に営業する飲食店のことです。注文はUber Eatsや出前館などの配達プラットフォームを通じて受け、料理は配達員がお客様に届けます。客席や接客のスペースがいらないため、一般的な飲食店より小さな厨房で始めやすい業態です。

ただし、客席がなくても飲食店であることに変わりはありません。営業許可や食品衛生のルールは通常の飲食店と同じように守る必要があります。また、売上の一部が配達プラットフォームの手数料になるため、価格の決め方も店舗型とは違ってきます。

この記事では、ゴーストレストランの開業に必要な許可、シェアキッチンや間借りで始めるときの考え方、開業資金の目安と内訳、配達プラットフォームの仕組み、容器と温度管理、集客までをまとめました。

この記事でわかること
  • ゴーストレストランの仕組みと開業スタイル
  • 飲食店営業許可と食品衛生責任者
  • シェアキッチン・間借りで始めるときの許可の考え方
  • 開業資金の目安と内訳
  • 配達プラットフォームの手数料と入金の仕組み
  • デリバリー容器・温度管理・食品表示の注意点
目次

ゴーストレストラン開業の相談で多い悩み

ご相談者

「自宅のキッチンでデリバリー専門店を始められますか。」

ご相談者

「配達アプリの手数料が高くて、利益が残るか不安です。」

ゴーストレストランは、営業許可を取れる厨房と手数料を見込んだ価格設定が要になります。仕組みと開業資金を順番に整理しました。

ゴーストレストランの仕組み

ゴーストレストランの基本的な流れは、次のとおりです。

  1. お客様が配達アプリでメニューを選び、アプリ上で支払う
  2. お店に注文が届き、料理を作って容器に詰める
  3. 配達員がお店で料理を受け取り、お客様に届ける
  4. 売上から手数料などを引いた金額が、プラットフォームからお店に入金される

このように、お客様とのやりとりの多くはアプリの中で完結します。お店は料理の品質と、注文から受け渡しまでの速さに集中できる一方で、お客様と直接会う機会がほとんどありません。写真、メニュー名、口コミの評価が、お店選びの決め手になりやすい業態です。

テイクアウト専門店・キッチンカーとの違い

業態お客様との接点主な特徴
ゴーストレストラン配達アプリ経由。基本的に対面しない立地の人通りに左右されにくい。手数料がかかる
テイクアウト専門店店頭で受け渡し人通りや店の見つけやすさが売上に影響する
キッチンカー出店場所で対面販売出店場所の確保と、車両の営業許可が必要

ゴーストレストランの開業スタイル

開店前のゴーストレストランのイメージ
開店前のゴーストレストラン(イメージ)
スタイル特徴気をつけたいこと
自分で厨房物件を借りる設備やメニューを自由に決められる物件取得と厨房設備の費用がかかる
居抜き物件を使う前のお店の設備を使えて費用を抑えやすい設備の状態と、営業許可の基準に合うかの確認
シェアキッチン・クラウドキッチン設備の整った厨房を借りて始められる利用料、使える時間帯、許可の扱いを確認する
既存の飲食店の厨房を間借りする空いている時間の厨房を使える許可の扱いと、元のお店との取り決め
既存店で別ブランドを出す今の厨房と人員で売上を増やせる営業許可の範囲内のメニューか確認する

「自宅のキッチンで始められる」と紹介されることもありますが、営業許可を取るには、家庭用の台所とは区切られた、施設基準に合う調理場が必要です。自宅の一部を改装して許可を取る例はありますが、普段の生活に使っている台所をそのまま使うことはできません。自宅で考えている場合は、改装の前に保健所に相談してください。

ゴーストレストランの開業に必要な許可と資格

客席がなくても飲食店営業許可は必要

ゴーストレストランは、客席がなくても料理を作って提供する飲食店です。そのため、食品衛生法にもとづく飲食店営業許可が必要です。許可は、調理をする施設ごとに、その施設を管轄する保健所に申請します。施設が都道府県などの定める基準に合っているかを、保健所が確認したうえで許可が出ます。

施設の基準には、手洗い設備、シンクの数、床や壁の素材、冷蔵設備、給湯設備などがあります。基準は自治体によって細かい部分が違うことがあるため、物件を決める前、工事を始める前に、図面を持って保健所に相談しておくと手戻りを防げます。

食品衛生責任者を置く

営業許可を受ける施設には、食品衛生責任者を置く必要があります。調理師や栄養士などの資格がない場合は、各都道府県の食品衛生協会などが開く講習会を受けて資格を取るのが一般的です。講習は1日で終わるものが多いですが、開催日が限られることもあるので、早めに予約しておきましょう。

HACCPに沿った衛生管理

2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者に、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が求められています。小規模な飲食店は、業界団体が作った手引書を参考に、衛生管理の計画を立てて記録をつける形で取り組めます。デリバリーでは作ってからお客様が食べるまでに時間がかかるため、温度管理の記録は特に大切です。

開業届と青色申告

個人で開業する場合は、税務署に開業届を出します。青色申告承認申請書も一緒に出しておくと、帳簿をつけることで節税の特典を受けられます。ゴーストレストランは、プラットフォームごとに売上と手数料が分かれて入金されるため、入金の明細を保存して帳簿と照らし合わせる習慣をつけておきましょう。

シェアキッチン・間借りで始めるときの許可の考え方

シェアキッチンや間借りは、初期費用を抑えて始められる方法です。ただし、営業許可の扱いは施設や自治体によって違うため、契約の前に必ず確認が必要です。

施設の許可を使う形と、自分で許可を取る形がある

シェアキッチンには、大きく分けて2つの形があります。

形内容確認したいこと
施設側が許可を持つ形施設の運営者が営業許可を取り、利用者はそのもとで調理・販売する作れるメニューの範囲、利用者に求められる資格や保険
利用者ごとに許可を取る形同じ施設を使う事業者が、それぞれ自分の名義で営業許可を取る保健所がその形を認めているか、申請に必要な書類

たとえば、神戸市の公園内にあるシェアキッチンの出店者利用規約では、キッチンが飲食店営業許可を得ているため、事前に申告されたメニューしか調理・販売できないこと、出店者のうち1名が食品衛生責任者の資格を持つことなどが利用の条件として定められています。一方で、ひとつの施設で複数の事業者がそれぞれ許可を取る形を、保健所に認められたと発表しているシェアキッチンもあります。どちらの形になるかで、自分の名前でデリバリーに出店できるかどうかや、メニューの自由度が変わります。

配達プラットフォームへの登録にも許可の情報が必要

配達プラットフォームに出店するときは、営業許可の情報を求められるのが一般的です。施設側の許可で営業する場合、自分の店名で登録できるのかを、施設の運営者とプラットフォームの両方に確認しておきましょう。

共有の厨房ならではの衛生の注意

埼玉県は、シェアキッチンを使う人への注意として、清掃の役割分担を利用前に確認すること、前の利用者の汚れやアレルゲンが残っている可能性があることなどを挙げています。また、アレルゲンが混ざる可能性について「入っている場合があります」といった表示は認められていないとも案内しています。共有の厨房では、使う前の清掃と、器具の使い分けを自分のルールとして決めておきましょう。

間借りで確認したいこと

  • 保健所が、その間借りの形で営業許可を出すかどうか
  • 使える時間帯と曜日、元のお店の営業との重なり
  • 冷蔵庫や保管場所を分けて使えるか
  • 設備が壊れたときの修理費の負担
  • 契約を終えるときの条件

ゴーストレストランの開業資金はどれくらい必要か

日本政策金融公庫の「2025年度新規開業実態調査」によると、すべての業種を合わせた開業費用の平均値は975万円、中央値は600万円でした。250万円未満で開業した人が20.1%、250万〜500万円未満が21.7%で、500万円未満の開業が4割を超えています。

ゴーストレストランは客席の内装がいらないため、店舗型の飲食店より費用を抑えやすい業態です。ただし、どの開業スタイルを選ぶかで金額は大きく変わります。シェアキッチンなら物件の取得費はかかりませんが、毎月の利用料がかかります。自分で厨房物件を借りるなら、物件取得費と厨房設備の費用が大きくなります。

初期費用の内訳

項目内容金額が変わるポイント
物件取得費保証金、礼金、仲介手数料、前家賃シェアキッチンなら入会金や保証金のみの場合もある
内装・厨房工事費給排水、換気、床・壁、手洗い設備居抜きか、スケルトンからか
厨房機器冷蔵庫、冷凍庫、コンロ、フライヤー、シンクメニューに必要な機器の数
許可・資格飲食店営業許可の申請手数料、食品衛生責任者の講習費手数料は自治体ごとに決まっている
容器・包材料理の容器、袋、カトラリー、シールメニュー数と容器の種類
注文の受付タブレット、通信環境、プリンター出店するプラットフォームの数
メニュー写真アプリに載せる料理の撮影自分で撮るか、撮影を頼むか
初回の食材オープン時の仕込みメニューの数と食材の保存期間

運転資金の内訳

  • 家賃またはシェアキッチンの利用料
  • 食材費、容器・包材費
  • 配達プラットフォームの手数料
  • 水道光熱費、通信費
  • 人件費(スタッフを雇う場合)
  • アプリ内の広告やキャンペーンの費用
  • 自分の生活費

配達プラットフォームからの入金は、注文があった日にすぐ入るわけではありません。食材や容器の支払いと入金の時期にずれが出るため、運転資金には余裕を持たせておきましょう。

配達プラットフォームの手数料と入金の仕組み

お客様の支払いはプラットフォームが受け取る

ゴーストレストランの決済は、ほとんどが配達アプリの中で行われます。お客様はアプリに登録したクレジットカードなどで支払い、そのお金はいったんプラットフォームが受け取ります。お店は、注文の売上から手数料などを差し引いた金額を、決められた時期にまとめて受け取る仕組みです。そのため、店頭に決済端末を置かなくても営業できます。

手数料は契約内容で変わる

手数料の率や入金のサイクルは、プラットフォームごと、契約するプランごとに違い、変更されることもあります。配達をプラットフォームの配達員に任せるか、自分で配達するかでも手数料が変わる場合があります。最新の条件は、各社の加盟店向けの案内や契約書で確認してください。複数のプラットフォームに出店する場合は、それぞれの手数料と入金日を一覧にしておくと、資金の管理がしやすくなります。

価格は手数料を引いたあとで考える(計算の例)

デリバリーでは、売値から手数料が引かれるため、店舗と同じ価格設定では利益が残りにくくなります。以下は、考え方を示すための仮の数字による計算の例です。手数料の率は実際の契約で確認してください。

項目計算の例(仮の数字)
1食の売値1,200円
プラットフォームの手数料(仮に売値の35%)420円
食材費(仮に売値の30%)360円
容器・袋・カトラリー60円
1食あたりに残るお金(家賃・人件費などを引く前)360円

この例では、1食あたりに残るのは360円です。ここから家賃や利用料、光熱費、人件費を払うことになります。月にどれくらいの注文があれば固定費をまかなえるかを、開業前に計算しておきましょう。

自分で注文を受ける仕組みを持つ方法もある

プラットフォームだけに頼ると、手数料の負担が大きく、お客様の情報も手元に残りにくくなります。慣れてきたら、自社の注文ページや電話での注文など、プラットフォームを通さない注文の窓口を持つ方法もあります。その場合は、配達の体制と決済の方法を自分で用意する必要があります。

デリバリー容器と温度管理

届いたときにおいしい料理を考える

デリバリーの料理は、作ってからお客様が食べるまでに時間がかかります。揚げ物が湿気る、麺がのびる、汁がこぼれるといった問題は、口コミの評価を下げる原因になります。メニューを決めるときは、店で食べるおいしさではなく、届いたときのおいしさで考えましょう。

  • 汁気の多いものは、別の容器に分ける
  • 揚げ物は、蒸気を逃がせる容器を選ぶ
  • 温かいものと冷たいものは、袋の中で分ける
  • ふたが外れにくく、こぼれにくい容器を選ぶ
  • 電子レンジで温め直せる容器かどうかを表示する

温度管理と食中毒の予防

料理を作ってから時間がたつと、細菌が増えやすくなります。作り置きをしない、冷ますものは素早く冷ます、温かいものは温かいうちに渡す、といった基本を徹底しましょう。注文が集中する時間帯に備えて仕込みをする場合も、保存の温度と時間を記録しておくと安心です。生ものや半熟の卵など、時間がたつと危険が高まる食材をメニューに入れるかどうかも、慎重に判断してください。

食品表示とアレルギーの情報

飲食店で作る料理の表示のルールは、売り方によって変わります。消費者庁の食品表示基準Q&Aでは、弁当や惣菜について、容器に詰めて売る場合の表示の考え方が示されています。デリバリーの料理がどの扱いになるかは、売り方によって判断が変わることがあるため、保健所や消費者庁の案内で確認してください。表示の義務がない場合でも、アレルギーの原因になる食材は、アプリのメニュー説明に載せられる範囲で示しておくと、お客様が安心して注文できます。

ゴーストレストランの開業資金を集める方法

自己資金

日本政策金融公庫の同じ調査では、開業時の資金調達額は平均1,219万円で、そのうち金融機関などからの借り入れが67.9%(平均827万円)、自己資金が22.9%でした。シェアキッチンで小さく始める場合でも、入金までの運転資金は自己資金で用意しておくと安心です。

日本政策金融公庫の創業融資

制度新規開業・スタートアップ支援資金
対象新たに事業を始める方、または事業開始後おおむね7年以内の方
融資限度額7,200万円
返済期間設備資金20年以内、運転資金10年以内(いずれも据置期間5年以内)

創業計画書では、飲食店での調理経験、メニューの原価計算、プラットフォームの手数料を引いたあとの利益の見込みを書いておくと、計画の実現性が伝わりやすくなります。配達エリアの人口や競合の状況も、数字で示せると説得力が増します。

補助金

小規模事業者持続化補助金〈創業型〉は、市区町村などの「特定創業支援等事業」の支援を受けた、創業間もない小規模事業者が対象です。2026年の第3回公募では補助上限200万円(インボイス特例で50万円上乗せ)、補助率3分の2でした。チラシやホームページ、自社の注文ページの構築などの販路開拓に使えます。公募の時期や条件は回ごとに変わるため、最新の公募要領を確認してください。

ゴーストレストランの開業までの流れ

コンセプトとメニューを決める

誰に、何を、どの価格で届けるか

配達エリアの需要と競合をアプリで調べる
事業計画と資金計画を立て、必要なら融資を申し込む
調理場所を決める

物件、シェアキッチン、間借り

保健所に事前相談し、工事や設備を整える
食品衛生責任者の資格を取る
飲食店営業許可を申請し、施設の確認を受ける
配達プラットフォームに出店を申し込む
容器を選び、メニュー写真を撮り、試作で届いたときの状態を確かめる
税務署に開業届を出して営業を始める

配達プラットフォームへの登録は、営業許可の情報や口座の情報が必要で、審査に日数がかかることがあります。営業許可の見通しが立った段階で、必要な書類を確認しておきましょう。

開業前に準備したい集客

アプリの中で選ばれる写真とメニュー名

お客様は、アプリの一覧に並んだ写真と店名、メニュー名を見て注文を決めます。料理がおいしそうに見える写真を用意し、メニュー名で量や味がわかるようにしておきましょう。セットメニューや、ひとりで頼みやすい量のメニューを用意するのもひとつの方法です。

口コミの評価を大切にする

対面の接客がないぶん、口コミの評価がお店の信頼になります。容器の工夫、盛り付けの丁寧さ、注文の受け忘れをしないことなど、基本の積み重ねが評価につながります。低い評価がついたときは、原因を確かめて改善しましょう。

Googleマップとホームページ

デリバリー専門でも、店名で検索する人はいます。ホームページやSNSに、出店しているアプリ、配達エリア、営業時間、メニューを載せておくと、アプリ以外の場所でも見つけてもらえます。Googleビジネスプロフィールは、店舗に来るお客様がいない業態でも、対応エリアを設定して登録できる場合があります。登録の条件はGoogleのガイドラインで確認してください。

地域とのつながり

近くの会社や事業所からのまとまった注文は、売上を安定させる助けになります。チラシや地域の交流会で、お弁当やケータリングの注文を受けられることを案内しておきましょう。

よくある質問

ゴーストレストランに営業許可は必要ですか?

必要です。客席がなくても、料理を作って提供する飲食店にあたるため、調理をする施設ごとに保健所の飲食店営業許可を受けます。施設には食品衛生責任者を置く必要もあります。

自宅のキッチンで開業できますか?

普段の生活に使っている台所のままでは、営業許可は取れません。家庭用の台所と区切られた、施設基準に合う調理場が必要です。自宅の一部を改装して許可を取る方法もあるので、工事の前に保健所に相談してください。

シェアキッチンなら自分で営業許可を取らなくてもいいですか?

施設側が許可を持ち、利用者はそのもとで調理する形と、利用者ごとに許可を取る形があります。どちらになるかは施設と自治体によって違います。作れるメニューやプラットフォームへの出店のしかたにも関わるので、契約の前に施設の運営者と保健所に確認してください。

配達プラットフォームの手数料はどれくらいですか?

手数料の率は、プラットフォームや契約するプラン、配達を任せるかどうかで違い、変更されることもあります。最新の条件は各社の加盟店向けの案内や契約書で確認し、手数料を引いたあとに利益が残る価格を決めましょう。

お客様からの支払いはどうやって受け取りますか?

お客様はアプリの中で支払い、そのお金はいったんプラットフォームが受け取ります。お店には、売上から手数料などを差し引いた金額が、決められた時期にまとめて入金されます。入金のサイクルは各社の規約で確認してください。

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この記事を書いた人

エアライフ代表。不動産の現場で7年間、SEO・MEOなど様々なWeb集客を実践し、不動産会社が200社以上ある地域で上位表示を実現。現在は姫路を拠点に、中小企業・店舗の集客・採用・調査を支援しています。
宅地建物取引士・ファイナンシャルプランニング技能士2級

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